アンチエイジング(抗加齢)医療と歯周病

アンチエイジング医学とは、「老化現象の予防・改善をおこなうために治療法を研究し、実践していく医療」をいいます。
これまでの歯科医院の役割は、歯科疾患の患者さんにむし歯、歯周病、入れ歯などの治療をするのが主で、予防は、それらの治療後の疾病管理においてのみおこなわれてきましたが、現在では健康増進の観点から予防の重要性が強調されるようになりました。


日本杭加齢医学会では「疾病を作らない」、すなわち細胞の老化を体内から失くして、健康な人はより健康に、さらに若さを保ち、より一層美しくなるための医療を提唱しています。

 

ヒトが呼吸で取り込む酸素の2~4%は非常に不安定な活性酸素に転換するといわれています。


この活性酸素は細胞内のミトコンドリアがエネルギーを作り出す際に生成されます。


また活性酸素を増加させる要因には、喫煙、ストレス、飲酒、紫外線などがあげられ、社会生活や生活習慣と緊密な関係がみられます。


活性酸素は他の物質と反応しやすいためタンパク質や脂質を酸化させて身体の老化(サビの発生)を促進させたり、細胞核内の遺伝子を損傷してがんを発生させたり、血管内では動脈壁にLDLコレステロールを沈着させて心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすといわれています。


その予防の一環として多くのサプリメントや健康食品が販売されています。
例えばビタミンE・C、カロテノイド、ポリフェノール、コエンザイムQ10、αリポ酸などの抗酸化物が有効だといわれています。
このようなサプリメントを活用して活性酸素をコントロールし、口腔や体内の老化現象を予防することの可能な時代が予想されます。
さて、がん療法のなかで「休眠療法」(ドーマンシー療法)が話題を呼んでいます。
これは抗がん剤やX線療法などを最小限にして、がん病素を限局させたまま、日常生活をさせる方法で、QOL(※1)を高める一つの治療法といわれています。
歯周治療でも、非外科的な治療法があります。患者さんには家庭でのケア、つまり歯ブラシや歯間ブラシでのブラッシング、3DS(※2)の使用などで、本人の自覚を促し、歯科医院では、スケーリング、ルートプレーニング(SRP)を主体として、補助的にレーザー照射や抗菌剤の投与などをおこない、歯の保存・維持に務める方法です。
歯周外科による身体への侵襲、歯茎の退縮や歯根露出などの欠点を補足し、QOLを主眼においた非外科的療法とも考えられます。


このような非外科的な歯周治療に加えて、前述のような抗酸化物サプリメントを補給することで、歯周組織の老化を防ぎ、口腔のアンチエイジングをはかることが可能となるでしょう。


(※1)QOL:クォリティ・オブ・ライフ→「生命の質」「生活の質」などと訳される。


(※2)3DS:Dental Drug Delivery System(デンタル・ドラッグ・デリバリー・システム)の略→抗菌剤により虫歯や歯周病の原因菌を殺菌し、虫歯や歯周病の予防を行う方法です。