睡眠時の顎の位置と睡眠時無呼吸症候群

皆さんは「噛み合わせと睡眠」について考えたことはありますか?

普段リラックスして横になっている時は、唇が軽く接する状態で、上下の歯の間に少し隙間があります。
しかし仰向けになって軽く開いている場合は、顎の全体、そして舌自身の重さで下がってしまいます。
では下がってしまうとどうなるかといえば、大事な気道、つまり空気の通り道を狭くしてしまいます(図1)。
それが一番反映されるのがいびきです。
いびきがあると鼻が悪いとよくいわれますが、実際にはそれだけではなく、寝ている間に舌が下がってきて空気の通り道が狭くなっていることが原因である場合が多いのです。
それが重症になると、睡眠時に呼吸が停止する睡眠時無呼吸症候群につながります。




 

日本では、2003年に運転手の睡眠時無呼吸症候群により新幹線がオーバーランした事件以来、マスコミが取り上げるようになって脚光を浴びたのですが、アメリカではすでに1980年後半から数々の事件を引き起こす原因であると注目されていました。

なぜならスリーマイル島の原子炉の事故や、アラスカのタンカー座標事故などの原因をたどっていくと、実はそれを操作していた人が居眠りをしていたために操作ミスをしたことが疑われたからです。
そのために、10年前からアメリカでは国家レベルで、「いびきと言っても単純なものではなく、睡眠時無呼吸症候群というのは非常に大きな社会問題になりうる。」ということで国民に注意を呼びかけています。
日本でもちょうど10年以上遅れて、やっと社会的に認知されてきました。
睡眠時無呼吸症候群というのは、実は下の顎が後退することで起こりやすいと考えられています。
これは単に空気が通らないということだけではなく、頭に血液が行きわたらず、起きていても一日中睡魔におそわれ、車を運転している最中にも一瞬眠ってしまい事故を起こすことがあります。
あるいは記憶力が悪くなり、糖尿病の人には、場合によって悪化したり血圧が高くなる場合もあります。
同じように寝ていても、身体を休めるための睡眠ではなく、休めない状態の睡眠となり、結局は非常に心身ともに疲労してしまいます。
ではそのようなときに、医科の方では実際どのようにされているかというと、喉付近の余分な脂肪を取る、あるいは体重を減らすなどがありますが、それでも駄目な場合は、直接鼻から空気を送り込む、あるいはポンプで鼻から空気を送り込むことによって何とか酸素不足を補うということを行います。
歯科でできることは、寝ている間に顎が後ろに下がることを食い止めるようにすることです。
口の中にマウスガードに似た装置をはめることで、顎が下がる、舌が下がることを防止することができ、その結果空気の通り道が確保できるのです。
いびきも、ほとんど気にならない状態にすることが可能になってきています。